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小説家として知られております一葉が小説の道へ入るまでの間には、14歳で中島歌子の歌塾「萩の舎」に入門し、和歌や千蔭流の書、そして古典文学を学び身につけたという時期があります。「萩の舎」での一葉は、程なく和歌の競点で最高位を獲得し、後には師である歌子の助教として弟子に講義をするほどの非凡な才能を見せたようです。次第にたしなんできた和歌に飽き足らなくなり、表現手段を小説に見つけていったわけですが、和歌創作の意欲は失うことなく、生涯で幾多の詠草を残しております。
このように和歌にも親しみ続けた一葉ですが、その後小説家として認められたこともあり、才能を開花させる礎となった和歌のみを編纂した書物は現在に至るまであまり世に出されておりませんでした。
「眞筆 樋口一葉家集」の出版に際しましては、和歌と共に書もご鑑賞いただけるように、詠草および短冊を、あるがままの状態で集成いたしております。完成された和歌、悩み抜いている詠み人の姿、評定者としての技量、そして萩の舎に集う人々の姿など、この「眞筆 樋口一葉家集」を通してさまざまな風景を感じていただけることを期待してやみません。
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